ジャケ買いとは?
本におけるジャケ買いとは、店頭などで本の装丁だけをみて購入することです。
ジャケ買いとは、ジャケット買いのことで、もともとはCDやレコードなどをジャケットの印象から中身の音楽とは関係なしに購入することです。最近では、このジャケ買いという言葉は本にも普通に使われるようになっています。
ジャケ買いした本は必ずしも自分の趣味と合った本とは限りません。しかしながら、裏を返せば今まで自分では選ばなかった新しいタイプの本と出会えるチャンスでもあります。特に読書初心者の方や新しいジャンルの本にチャレンジしたい方など、今「これだ!」という本が無い方は本屋さんや図書館で装丁を眺めてみるというのはいかがでしょうか?
本のジャケ買いしたことある?
あけぼのが調査したところ、56.9%の方がジャケ買いをしたことがないということで、半分以上の方が装丁だけで本を買ったことがないということがわかりました。
これは意外な結果でした。編集部自身はかなりジャケ買いをするので、一般的なことだと思っていましたが、どうやらジャケ買いをしない人も多くいるようです。
しかし!そんな方にも是非この記事を読んで、装丁の魅力とジャケ買いの良さを知ってもらいたいと思います。
思わずジャケ買い!編集部おすすめのおしゃれな装丁の本を紹介
上田岳弘『引力の欠落』
『引力の欠落』は2019年に『ニムロッド』で第160回芥川賞を受賞した上田岳弘の作品です。普段ならここであらすじを紹介するところですが、今回はあえて内容には触れずに装丁のことだけ紹介していきたいと思います。
この『引力の欠落』の装丁の特徴は、一面の真っ白にイラストが書かれているだけというところです。帯を外さなければ、表紙のタイトルも背表紙のタイトルも見れないので、本棚に並べてあるとかなり異質な存在です。真っ白というシンプルな色使いと対照的にイラストは異形の猫(?)の上に女性が腰かけているというインパクトのあるデフォルメイラストになっています。このアンバランスさや異質な感じに強く惹かれた装丁でした。
穂村弘『水中翼船炎上中』
『水中翼船炎上中』は穂村弘による歌集です。この『水中翼船炎上中』の表紙は、背表紙、表表紙、裏表紙がそれぞれ違う紙を貼り合わせて作られています。しかも、表表紙と裏表紙にそれぞれ3パターンずつ柄が用意されているため、同じ本なのに9通りの装丁が存在するのです。
この本のデザインをしているのは、ブックデザイナーの名久井直子さんという方です。名久井さんの装丁はどれも素敵なものばかりなんですが、特に実際に本を手に取って感じること、肌ざわり、持ち心地にこだわりが感じられる装丁を作られています。この『水中翼船炎上中』も実際に手に取って選ぶということが本を買い、読み進めていくという行為により深く繋がっていく形に工夫されているというわけです。
F『真夜中乙女戦争』
『真夜中乙女戦争』は2022年に実写映画化されたこともあり、知っている方も多いかもしれません。
この本の装丁を一言で表すなら「映え」です。フィルムカメラ調の東京タワーの写真、大きな箔押しで抜かれたタイトル、表紙だけでもかなり現代的で「映える」装丁となっています。これ以外にも細かいところにこだわっており、表紙の効き紙が張られていない余白は金色に塗られているなどの工夫が施されていて高級感のある装丁となっています。
こだま『夫のちんぽがはいらない』
とんでもないタイトルなんですが、内容はいたって真剣なものになっているとだけお伝えしておきます。
装丁に関しては、そのタイトルを感じさせないほど儚いイメージが思い起こされます。実はこの本は私、編集部が装丁というものに興味を持つきっかけとなった本なんです。この装丁を見たときに、美しいと感じた理由はただそれだけなんですが、本を選ぶ理由ってそのぐらいでもいいのかなと思います。
素敵な装丁の本はまだまだ沢山
今回は数は少ないですが、心に残っている装丁をいくつか紹介していきました。もちろん、素敵と感じる装丁は人それぞれです。もし、この記事を読んで装丁の魅力が少しでも多くの方に伝わったのであれば幸いです。
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