一口に、本といっても沢山の種類があります。小説、ビジネス書、エッセイ、学習書などなど。本屋さんに行けば沢山のジャンルの本が並んでいますが、沢山の種類があるのはジャンルだけではありません。あまり気にしていない方も多いかもしれませんが、実は本のサイズには色々な種類があるのです。この記事では文庫本と単行本の違い、それぞれの魅力、どのような人におすすめなのかということを紹介していきます。
文庫本・単行本・新書など、本にはいろいろな種類がある
本の規格の中でも特に代表的なものが、文庫本と単行本です。これらは単にサイズが違うだけでなく、出版されるタイミングや特徴などにも違いがあります。そのほかにも新書のような文庫本とも単行本とも違う本も存在します。
単行本とは?
単行本とは「単独で刊行される本」のことです。「夏目漱石全集」のような全集やシリーズとして刊行される本とは違い、1冊単独で刊行される本のことを指します。単行本で刊行される作品は、雑誌や新聞などで連載していたものをまとめたものや全くの新しい書き下ろし作品であることもあります。
実は、単行本のサイズはだいたい決まっています。多くの場合B6判(128×182mm)か四六判(127×188mm)です。これは本のジャンルによっても異なりますが、小説などの文芸作品の単行本は、表紙が堅い、ハードカバーが採用されていることが多いです。対してビジネス書などではソフトカバーが採用されていることが多いです。このように一口に単行本といっても様々な種類があるのです。
単行本の価格はおおよそ1000円〜2000円程度です。専門的な学術書などではより高価なものもありますが、一般的に本屋さんで多くの方が手に取るような小説やビジネス書は大体このような値段設定で並べられています。
文庫本とは?
文庫本とは、単行本が刊行された後に販売される廉価版の叢書です。廉価版、すなわち単行本より安く多くの人に提供することを目的として販売されています。叢書とは、シリーズのことです。シリーズといっても漫画のようなシリーズ作品ではありません。本屋さんで違う作品だけど似たような背表紙が並んでいるコーナーを見たことがないでしょうか。それが文庫本のコーナーです。文庫本は一般的に「新潮文庫」や「青い鳥文庫」、「ちくま学芸文庫」など近しいジャンルの作品をまとめた「〇〇文庫」というようなシリーズとして刊行されます。
単行本と同様に文庫本もサイズがほとんど決まっています。文庫本はA6判(105×148mm)のサイズです。コートのような大き目のポケットには入ってしまうサイズ感で持ち歩きにも便利です。iPhoneの高さが大体140数ミリメートルであることを考えると持ち運びの便利さは想像がつきやすいのではないでしょうか。
単行本と比較して最も特徴的なのは、先ほども紹介した通り安いことです。
文庫本の価格はおおよそ500円〜1000円ほどです。単行本と比較すると半分の価格ということで手に取りやすさは圧倒的です。
新書とは?
新書とは、若干文庫本よりも大きなサイズの新書判の叢書のことです。新書判は、105×173mmと文庫本よりも少しだけ縦に長くなっています。文庫本には、小説やエッセイなどの文芸作品が多いですが、新書には専門分野への入門的位置づけの本が多くなっています。
単行本の魅力
単行本の魅力①:新作をすぐに読める
単行本の魅力の1つは新作をすぐに読めることです。
小説などの文芸書の場合、本として出版される場合まずは単行本として刊行されます。単行本として売れた後に展開されるのが文庫本であるため、新作をすぐに読みたい場合には単行本を手に入れる必要があります。
単行本の魅力②:表紙や装丁が魅力的
単行本は、新作が読めるだけでなく表紙や装丁も魅力的です。
叢書である文庫本と比べ、単行本はそれぞれの本で意匠を凝らしたデザインが行われています。もちろん文庫本と比較すれば価格設定は高いですが、表紙や装丁を楽しめるという意味では総合的な読書体験で考えると価値があるのではないでしょうか。
単行本の魅力③:ハードカバーなので長持ちする
特に、文芸書では多くの単行本がハードカバーで出版されています。
そのため、文庫本と比較しても劣化しづらくなっています。もちろん、本は紙で出来ていますからいつかは必ず劣化してしまいますが、ハードカバーであることで折れなどにも強く繰り返し読んでも劣化しづらいといえるでしょう。
文庫本の魅力
文庫本の魅力①:お手頃な価格
文庫本の魅力も様々ありますが、一番大きなポイントは価格ではないでしょうか。
単行本と比較して、おおよそ半分の値段で手に入れられるため気軽に手に取ることができます。単行本を買うほどではないけれどちょっと気になっていた本など、新しいジャンルにチャレンジしてみるときなどにはぴったりの選択肢です。
文庫本の魅力②:持ち運びに便利
文庫本の大きな魅力のもう1つは、持ち運びに便利ということです。
先ほども紹介した通り文庫本のサイズは大きめのポケットに入ってしまうほどです。電車などの移動時間に気軽に読めたり、出先でのちょっとした空き時間にも読むことができるというのは文庫本の特徴の中でも沢山の方が魅力を感じているのではないでしょうか。
文庫本の魅力③:加筆や修正がある場合も
少しニッチな魅力かもしれませんが、単行本から文庫本になるにあたって加筆や修正がある場合もあります。短編集などでは単行本にはなかった作品が追加されることもあるなど、同じタイトルの本でも内容が異なることがあるのです。
文庫本の魅力④:あとがきや解説も楽しめる
文庫本の巻末には、あとがきや解説があることがあります。これを楽しめるのも文庫本ならではです。
あとがきとは著者自身がその作品についてや執筆するにあたってのことを書く比較的自由なスペースです。解説とは作者以外の人がその作品の魅力や読みどころなどを解説しています。
とはいえ、何故文庫本にだけ解説があるのでしょうか。
実はこれは文庫本の歴史と関係があるのです。
文庫本はもともと古典の名作などを幅広い人に読んでもらうために安い値段で販売しようというのが始まりでした。多くの人が古典作品を読むにあたって、一定以上の知識など読解のための手助けが必要だということで解説が付けられるようになったのです。
文庫本と単行本どちらがおすすめ?
ここまで文庫本と単行本について色々な魅力を紹介してきました。もちろん、どちらの本もそれぞれの魅力があり、どちらかが優れているというわけでは決してありません。しかし、ここではどっちを買えばいいのか悩んでいる方のためにどのような方にどちらの本がお勧めなのかということを紹介していきたいと思います。
こんなひとは単行本がおすすめ
こんな方には単行本がおすすめです!
・特定の好きな作家がいる人
・話題の新作をすぐに読みたい人
・本をビジュアルでも楽しみたい人
・おうちでゆっくり本を楽しみたい人
こんなひとは文庫本がおすすめ
こんな方には文庫本がおすすめです!
・読書初心者の人
・いろんな本を手軽に楽しみたい人
・新しいジャンル・作家にチャレンジしたい人
・移動中や出先でも読書を楽しみたい人
まとめ
今回の記事では、文庫本と単行本という本の種類について紹介しました。
もちろんどちらも魅力的ですので、自分に合った種類を選択して快適な読書生活を送りましょう。
ちなみに、筆者はジャケ買いするときと新作を買うときは単行本で、普段あまり読まないジャンルやシリーズものなどは文庫本でというようなふんわりとしたマイルールを決めています。皆さんは単行本派、文庫派、決まったルールがある派、どれでしょうか。是非Twitterなどで共有して教えてください!
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