絵本のタイトルが思い出せない大人へ|記憶から探す具体的な方法

目次

はじめに

大人が幼少期に読んだ絵本のタイトルを思い出せないときは、保育園や幼稚園の月刊絵本(『こどものとも』『キンダーブック』)の可能性をまず疑い、福音館書店やフレーベル館の年代別アーカイブを当たるのが最短ルートです。 ふと頭に浮かぶあの絵本、表紙の色や登場人物の表情はおぼろげに覚えているのに、タイトルだけがどうしても出てこない。読み聞かせてくれた親御さんも他界し、聞ける相手がいない方も多いはずです。この記事では、30年・40年前の絵本でも見つけ出すための具体的な手順を順番にご紹介します。

大人が絵本を思い出せないときに最初に整理すべき情報

子どもの頃の記憶は感覚的で断片的なため、まずは思い出を文字に書き出すことから始めましょう。情報が整理されていれば、検索や問い合わせの精度が一気に上がります。

何歳ごろに読んだかを特定する

「保育園のお昼寝前に読んでもらった」「小学校に上がる前」など、読んだ時期を年齢ベースで思い出してみてください。年齢が分かれば出版年代の目星がつき、対象年齢別に絞り込んだ検索ができます。たとえば1980年に5歳だった方であれば、1975年から1980年に出版された幼児向け絵本に絞り込めます。

どこで読んだかを思い出す

家庭で買ってもらった絵本なのか、保育園・幼稚園で読んでもらったのか、親戚の家にあったのかという入手経路は、有力な手がかりになります。特に園で読んだ絵本の場合、後述する月刊絵本シリーズである可能性が高く、特定が一気に進むことがあります。

視覚と感覚の記憶を言語化する

表紙の色(赤系・青系・パステル系)、絵のタッチ(写実的・かわいい系・水彩風)、本の大きさ(A4サイズの大型本・正方形・縦長)といった視覚情報を、覚えている範囲で書き出してみてください。「触ったときの紙が分厚かった」「布張りの表紙だった」など、触覚の記憶も特定の出版社や年代を絞り込む材料になります。

月刊絵本シリーズを疑う方法

園で読んでもらった絵本である可能性が少しでもあるなら、まず月刊絵本シリーズの可能性を当たるのが鉄則です。多くの大人が「絶版で見つからない」と諦めている絵本の正体が、実はこのシリーズの一冊だったというケースは非常に多くあります。

福音館書店の『こどものとも』

『こどものとも』は1956年創刊の月刊絵本で、現在まで70年近くにわたって毎月新作を出し続けています。福音館書店の公式サイトには年代別のバックナンバー一覧が公開されており、自分が園に通っていた時期のラインナップを画像付きで確認できます。「あ、これだ」と一目で思い出せることも珍しくありません。同シリーズには年齢別に『こどものとも年少版』『0.1.2.』など複数の派生があり、対象年齢から絞り込めるのも便利です。

フレーベル館の『キンダーブック』

『キンダーブック』はフレーベル館が発行する月刊絵本で、1927年創刊という長い歴史を持っています。年中・年長クラスで定期購読されることが多く、戦前から戦後にかけて園にあった絵本としては最も普及していたシリーズの一つです。フレーベル館にも問い合わせ窓口があり、「○年ごろに読んだ動物が出てくるお話」といった内容ベースの相談にも対応してくれることがあります。

学研の『おはなしチャイルド』

学研プラスの『おはなしチャイルド』は1972年から続く老舗の月刊絵本です。創作童話を中心に毎月新作を届けるスタイルで、幼稚園を中心に広く読まれてきました。バックナンバーのデータベースは公式サイトで一部公開されており、検索の出発点として活用できます。

大人向けに使える検索サイトとデータベース

書店の絵本コーナーで偶然出会えればよいのですが、絶版本も多い絵本の世界では、データベースを駆使して探すほうが現実的です。大人ならではの語彙や情報整理力を活かせる方法を中心にご紹介します。

絵本ナビの詳細検索

絵本ナビは絵本専門の最大級ポータルサイトで、対象年齢・テーマ・出版社・絵を描いた人といった多角的な条件で本を探せます。絶版になった古い絵本も含めて約3万冊以上が登録されており、「動物が出てくる」「乗り物が登場する」といった漠然とした条件からでも候補を絞り込めます。レビューも豊富なので、似たテーマの絵本を読んで記憶と照合する使い方も有効です。

国立国会図書館サーチで絵本を絞り込む

国立国会図書館サーチでは、検索フィルターで「児童書」「絵本」を選択することで、対象を絞り込んだ検索ができます。絵本の一部にはあらすじが付加されており、内容のキーワードからの検索にも対応しています。明治以降に日本国内で出版されたほぼすべての絵本がデータベース化されているため、絶版本でも見つかる可能性が高いのが強みです。

Google Booksでフレーズから探す

絵本の本文や記憶に残っているセリフが思い出せる場合、Google Booksでそのフレーズを検索すると一発で見つかることがあります。「ぐるんぱのようちえん」のような有名作品はもちろん、知る人ぞ知る作品でも本文がスキャンされている場合が多く、意外なヒットが期待できる方法です。

質問サイトと専門家を活用する

データベース検索で見つからない場合、人の記憶に頼るのが次のステップです。特に絵本好きのコミュニティは年齢層が幅広く、自分が読んだ年代の絵本に詳しい人が必ず見つかります。

あやふや文庫で集合知を借りる

あやふや文庫はX(旧Twitter)を中心に発展した「タイトルが思い出せない本」を共有するコミュニティです。フォロワーが記憶を持ち寄って候補を返してくれる仕組みで、絵本に関する解決事例も非常に多く蓄積されています。投稿時には「30代女性、1990年代前半に保育園で読んだ」など、世代と読んだ環境を明記すると回答精度が上がります。

復刊ドットコム相談室と本の探偵団

復刊ドットコム相談室は絶版本に関する相談窓口で、絵本の特定にも強いコミュニティです。回答者には書誌情報に詳しいベテランが多く、出版社や発行年まで特定してくれます。また児童書研究家の赤木かん子さんが運営する「本の探偵」も、子どもの頃の絵本探しの定番サービスとして長年親しまれてきました。

国際子ども図書館への問い合わせ

東京・上野の国立国会図書館 国際子ども図書館は、絵本専門のレファレンスサービスを無料で提供しています。メールやWebフォームから「○年ごろに読んだ、青い表紙でうさぎが出てくる絵本」といったあいまいな質問でも、専門の司書が調査して回答してくれます。回答までに時間はかかりますが、ほかでは見つからない古い絵本まで掘り起こしてくれる可能性が高いサービスです。

どうしても見つからないときの最終手段

ここまでの方法を試しても見つからない場合、最後に頼るべきは現物を見られる場所と、人とのつながりです。意外なルートから一気に解決することもあります。

大型書店の絵本コーナーで背表紙を眺める

紀伊國屋書店や丸善ジュンク堂の絵本コーナーは、絶版本を除けば膨大な数の絵本が並んでいます。背表紙やタイトル文字を眺めているうちに「これだ」と思い出すことがあります。記憶を呼び覚ますには、デジタル検索よりも現物との偶然の出会いのほうが効果的なことも多いものです。

古書店と古本市場をのぞく

絶版絵本に関しては「日本の古本屋」や「ブックオフオンライン」のような古書ネットワークが頼りになります。子どもの頃に読んだ絵本がリーズナブルな価格で出ていることもあり、見つかった瞬間に購入できるのも魅力です。

同年代の知人や家族に聞いてみる

意外と効くのが、自分と同じ年代の友人や兄弟姉妹に聞いてみる方法です。同じ時期に同じ園や保育園で読んでいた可能性があり、「あ、それあったね」と一発で思い出してもらえることがあります。SNSの古い友人グループに投げかけてみるのも一つの手段です。

大人が絵本を探すときによくある質問

実際に絵本探しに取り組む大人の方からよく寄せられる疑問について、まとめてお答えします。事前に確認しておくと検索効率が大きく変わります。

30年以上前の絵本でも本当に見つかりますか

結論として、見つかる可能性は十分にあります。日本では昭和初期からの絵本が国立国会図書館に所蔵されており、月刊絵本シリーズも創刊号からのアーカイブが残っているケースが多いためです。1960年代から70年代の絵本でも、復刊ドットコムや古書店ネットワークを使えば現物を入手できることも少なくありません。むしろ古い絵本ほど熱心なコレクターが情報を整理していて、SNSで質問するとすぐに回答が返ってくる傾向があります。

親に読み聞かせてもらった絵本を探す手がかりは

両親や祖父母が健在であれば、まず本人に聞くのが最短の道です。「あの動物が出てくる絵本、何だっけ?」と尋ねるだけで、即答してくれることもあります。すでに聞ける相手がいない場合は、実家の押し入れや本棚の奥に絵本そのものが残っていないかを確認してみてください。絵本は捨てずに保管している家庭が多く、現物を見れば一発で記憶がよみがえります。

海外の翻訳絵本だった可能性があるときは

主人公の名前がカタカナだったり、舞台が外国風だった場合、翻訳絵本の可能性があります。原題が分かれば検索が一気に進むため、Google Booksで内容のキーワードを英語で検索したり、国際子ども図書館の海外絵本コレクションを当たったりするのが有効です。福音館書店や評論社、岩波書店などは翻訳絵本に強い出版社で、各社の翻訳作品リストを確認していくと見つかることがあります。

図書館に問い合わせるとお金はかかりますか

公立図書館や国立国会図書館のレファレンスサービスは、すべて無料で利用できます。利用できる回数にも基本的に制限がなく、何度でも気軽に相談してかまいません。回答は数日から数週間かかることがあるため、急ぎでない場合の選択肢として有効に活用してみてください。郵送・複写を依頼する場合のみ実費が発生しますが、タイトル特定のための問い合わせ自体は完全に無料です。

自分の記憶が間違っていた場合はどうすれば

実は子どもの記憶は曖昧で、登場人物の数や物語の結末を取り違えていることが少なくありません。「青い表紙だと思っていたら実は緑だった」「主人公は男の子だと思っていたら女の子だった」というケースもよくあります。あやふや文庫や復刊ドットコムで質問する際には、「青または緑系の表紙」のように幅を持たせて伝えることで、回答者が候補を提示しやすくなります。記憶違いを前提に柔軟に検索する姿勢が、絵本探しを成功させるコツです。複数の似た作品を実際に手に取って比べてみることで、本物が分かることもよくあります。

自分の子どもにも読み聞かせたいときは

懐かしの絵本を見つけたあと、自分の子どもに読み聞かせたいという方も多いはずです。絶版になっている場合は復刊ドットコムで復刊リクエストを出すか、メルカリなどのフリマアプリで中古を探す方法があります。また同じ作家の現役作品を読み聞かせるのもおすすめで、画風や世界観が共通しているため、子どもにも親世代の感性を共有できるはずです。世代を超えて受け継がれる絵本は、家族の会話のきっかけにもなる素敵な存在になります。

なお、児童書全般のタイトル検索については別記事「児童書のタイトルが思い出せない…記憶から探す7つの方法」でも詳しく解説していますので、ジャンル横断で探したい方は併せてご覧ください。

まとめ

大人が幼少期の絵本を思い出すコツは、まず読んだ年齢と場所を特定して月刊絵本シリーズの可能性を当たり、見つからなければ絵本ナビや国立国会図書館サーチでデータベース検索に進む流れです。それでも特定できない場合は、あやふや文庫や復刊ドットコム相談室で集合知に頼り、最後は国際子ども図書館の専門レファレンスや大型書店の現物確認を活用するのが王道といえます。

懐かしいあの一冊との再会は、子ども時代の感情まで一緒によみがえる特別な体験になります。今度はぜひ、ご自身のお子さんやお孫さんと一緒に読み返してみてください。

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この記事を書いた人

文芸Webマガジンあけぼのの編集部です。

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