読書感想文のあらすじの書き方|分量の目安とまとめ方のコツ・例文つき

読書感想文のあらすじの書き方|分量の目安とまとめ方のコツ・例文つき
目次

はじめに

はじめに

読書感想文のあらすじは、全体の1〜2割におさめて「感想を語るための前提」だけを書くのがコツです。主人公と状況、物語を動かす出来事、自分の心が動いた場面の3つにしぼって書けば、原稿用紙1枚分の感想文でも3枚分でも、ちょうどよい長さにまとまります。この記事では、あらすじを書く前の準備から、4つのステップ、学年別の例文、やりがちな失敗の直し方まで、順を追って解説します。「あらすじばかりになってしまう」「どこまで書けばいいかわからない」という悩みを持つ小学生・中学生・高校生と、お子さんの宿題を見守る保護者の方に向けた内容です。

読書感想文における「あらすじ」の役割

読書感想文における「あらすじ」の役割

読書感想文のあらすじは、国語の授業で習う「要約」とは目的が違います。要約は本の内容を正確に縮めることが目的ですが、感想文のあらすじは、読んだことのない人に「この本はこういう話で、私はここで心が動いた」と伝えるための導入部分です。この違いを理解しておくと、何を書いて何を省くかの判断がぐっと楽になります。

あらすじは感想の「前提」を伝えるためにある

感想文を読む先生や審査員は、必ずしもその本を読んでいるわけではありません。そのため、「主人公が最後に下した決断に胸を打たれた」と書いても、どんな主人公がどんな状況で何を決めたのかがわからなければ、読み手は共感のしようがないのです。あらすじの役割は、感想の前提となる情報を最小限で手渡すことにあります。裏を返せば、自分の感想と関係のない場面は、たとえ物語の中で重要であっても書く必要はありません。

あらすじだけの感想文が評価されない理由

読書感想文の審査基準や学校の評価では、「本の内容を自分の考えや経験と結びつけているか」が重視されます。あらすじを長々と書いても、そこに自分の考えが入っていなければ、評価の対象になりにくいのが実情です。全国的な感想文コンクールの入賞作を読むと、あらすじはごく短く、そのぶん「なぜそう感じたのか」の説明に文字数が使われています。あらすじは短ければ短いほど、感想を書くためのスペースが残るということを覚えておきましょう。

あらすじの分量は全体の1〜2割が目安

あらすじの分量は全体の1〜2割が目安

分量の正解はひとつではありませんが、感想文全体の1〜2割、多くても3割までにおさめると、バランスのよい構成になります。原稿用紙の枚数ごとに、あらすじにあてる目安を整理すると次のとおりです。

原稿用紙の枚数 総文字数 あらすじの目安 行数のイメージ
2枚(小学校低学年) 800字 80〜160字 4〜8行
3枚(小学校中学年・高学年) 1,200字 120〜240字 6〜12行
4枚(中学生) 1,600字 160〜320字 8〜16行
5枚(高校生) 2,000字 200〜400字 10〜20行

文字数より「要素の数」で考える

文字数の目安があっても、実際に書き始めると長くなりがちです。そこで、あらすじに入れる要素を3つに固定してみてください。1つ目は「誰が、どんな状況にいるか」、2つ目は「どんな出来事が起きて物語が動くか」、3つ目は「自分がいちばん心を動かされた場面はどこか」です。この3つを一文ずつ書けば、自然と150〜250字程度におさまります。要素を増やすのではなく、それぞれの一文を丁寧に磨くほうが、読みやすいあらすじになります。

学年が上がるほど「選ぶ力」が求められる

小学校低学年では、お話の流れを自分の言葉で言い直せていれば十分です。中学年・高学年になると、物語全体の中から大事な出来事を選ぶことが求められ、中学生・高校生では、作品のテーマにかかわる場面を切り取って感想につなげる力が評価されます。学年が上がるほど、あらすじは短くなり、選び方が鋭くなっていくイメージを持っておくとよいでしょう。

あらすじを書く前の準備:読みながらメモを取る

あらすじを書く前の準備:読みながらメモを取る

あらすじがうまく書けない原因の多くは、読み終わってから記憶を頼りに書こうとすることにあります。本を読み終えた時点で、物語の細部はすでに薄れています。読みながら少しだけメモを残しておけば、あらすじ作りの手間は半分以下になります。

付箋で「心が動いた場面」を残す

読みながら、「おもしろい」「かわいそう」「びっくりした」「自分だったらこうする」と感じたページに付箋を貼っていきます。付箋には一言だけ、感じたことを書き添えておくのがポイントです。読み終わったときに付箋が5枚あれば、そのうちいちばん強く心が動いた1〜2枚が、あらすじの締めくくりと感想の中心になります。付箋が貼れない図書館の本の場合は、ページ番号と一言をノートに書いておけば同じ効果があります。

登場人物と出来事を一行で整理する

読み終わったら、主な登場人物を3人まで、物語の中で起きた大きな出来事を3つまで、それぞれ一行で書き出してみます。たとえば太宰治の『走れメロス』なら、登場人物は「メロス」「親友セリヌンティウス」「王ディオニス」、出来事は「メロスが王に捕らえられ、妹の結婚式のため3日の猶予をもらう」「帰り道で川の氾濫や山賊に襲われ、一度はあきらめかける」「日没直前に走って戻り、王の心を変える」といった具合です。この一行メモがそのまま、あらすじの骨組みになります。

あらすじの書き方4ステップ

あらすじの書き方4ステップ

準備ができたら、次の4つのステップで書いていきます。ステップごとに一文か二文を書くつもりで進めると、長くなりすぎません。

ステップ1 主人公と状況を一文で書く

最初の一文で、「誰の、どんな話か」を伝えます。「この本は、村の牧人メロスが、親友を人質に残して妹の結婚式へ向かい、約束の時間までに王のもとへ戻ろうとする物語です」のように、主人公・立場・状況を一文に入れます。本の題名と作者名は、感想文の冒頭か最初の段落のどこかで一度書いておけば十分です。

ステップ2 物語を動かす出来事を選ぶ

次に、物語が大きく動く出来事を1つか2つだけ選びます。物語には細かな出来事がたくさんありますが、すべてを書く必要はありません。「帰り道で川が氾濫し、山賊にも襲われたメロスは、疲れ果てて一度は走ることをあきらめてしまいます」というように、感想につながる出来事だけを残します。ここで選ぶ出来事は、ステップ4で書く「心が動いた場面」への流れを作るものにすると、あらすじ全体に筋が通ります。

ステップ3 結末はぼかしてもよい

結末を書くかどうかで迷う人は多いのですが、感想文の場合は結末を書かなくても問題ありません。むしろ、「最後にメロスがどうなったのかは、ぜひ本を読んで確かめてほしい」と締めるほうが、読み手の興味を引くこともあります。ただし、結末の場面こそが自分の感想の中心になる場合は、必要な範囲で書いてかまいません。感想を語るために必要かどうかで判断するのが基本です。

ステップ4 感想につながる場面で締める

あらすじの最後の一文は、自分がいちばん心を動かされた場面にします。「それでも、親友の顔を思い浮かべたメロスは、再び立ち上がって走り出します」と書いて、次の段落で「私がもっとも心を打たれたのは、この立ち上がる場面でした」と続ければ、あらすじから感想へ自然にバトンが渡ります。この締め方を意識するだけで、あらすじと感想がばらばらにならず、ひとつながりの文章として読めるようになります。

学年別のあらすじ例文

学年別のあらすじ例文

ここでは、小学生・中学生・高校生の定番作品を使って、実際のあらすじの例文を紹介します。文字数はいずれも150〜250字程度で、感想文全体の1〜2割にあたる分量です。

小学生向けの例文:『ごんぎつね』

新美南吉の『ごんぎつね』は、小学4年生の教科書でおなじみの作品です。例文は次のようになります。「この本は、いたずら好きのきつねのごんが、兵十という男の人のうなぎをとってしまうところから始まります。兵十のおかあさんが死んだことを知ったごんは、自分のいたずらをこうかいして、まい日くりやまつたけを兵十の家にとどけるようになります。でも、兵十はそれがごんのしわざだとは知りません。わたしがいちばん心にのこったのは、兵十がごんの気持ちに気づく、さいごの場面でした。」低学年・中学年では、このように自分の言葉で言い直せていれば十分です。

中学生向けの例文:『走れメロス』

「太宰治の『走れメロス』は、牧人のメロスが、人を信じられない王ディオニスに捕らえられ、妹の結婚式に出るため親友セリヌンティウスを人質に残して、三日後の日没までに戻ると約束する物語です。帰り道のメロスは、川の氾濫や山賊に行く手を阻まれ、疲れ果てて一度は走ることをあきらめかけます。それでも、自分を信じて待つ親友の姿を思い出したメロスは、再び立ち上がって走り出します。私がもっとも心を揺さぶられたのは、あきらめかけたメロスが立ち上がるこの場面でした。」結末を書かずに、感想の中心となる場面で締めている点がポイントです。

高校生向けの例文:『羅生門』

芥川龍之介の『羅生門』は、高校1年生の教科書に長く採用されている作品です。「芥川龍之介の『羅生門』は、平安時代の荒れ果てた京都を舞台に、主人に暇を出された下人が、盗人になるか飢え死にするかの選択を迫られる物語です。雨宿りに羅生門へ上った下人は、死体の髪を抜く老婆と出会い、その言い分を聞くうちに、それまでの迷いが消えていきます。私はこの作品を、悪に手を染める瞬間の人間の心を描いたものとして読みました。とくに、老婆の言葉を聞いた下人の心に『ある勇気』が生まれる場面に、強く引き込まれました。」高校生の場合は、作品のテーマにかかわる場面を切り取り、自分の読み方を一文添えると、あらすじの段階から考察の深さが伝わります。

あらすじを書くときにやりがちな失敗と直し方

あらすじを書くときにやりがちな失敗と直し方

あらすじがうまくいかないときは、だいたい決まった原因があります。代表的な3つの失敗と、それぞれの直し方を確認しておきましょう。

結末まで全部書いてしまう

もっとも多いのが、物語の最初から最後まで順番に書いてしまう失敗です。これでは要約になってしまい、感想を書くスペースがなくなります。直し方は簡単で、書いた文章の中から「感想に関係ない文」を消していくことです。残った文が3〜4文になれば、ちょうどよい長さになっています。

細かい出来事を順番に並べてしまう

「それから」「次に」「そして」でつないだあらすじは、出来事を並べただけになりがちです。直すには、ステップ2で説明したように「物語を動かす出来事」を1つか2つだけ選び直します。選んだ出来事のあいだにある細かな場面は、思い切って省いてかまいません。省いても話が通じるかどうかを、家族や友だちに読んでもらって確かめるのも有効です。

本の帯や裏表紙の紹介文を写してしまう

帯や裏表紙の紹介文は、本を売るために書かれた文章であり、自分の感想とは視点が違います。そのまま写すと、あらすじと感想のあいだに溝ができてしまいます。紹介文は「どんな要素が大事とされているか」を知る参考にとどめ、文章は必ず自分の言葉で書き直しましょう。自分の言葉で書いたあらすじは、多少ぎこちなくても、そのあとの感想と自然につながります。

あらすじから感想へつなげる書き方

あらすじから感想へつなげる書き方

あらすじが書けたら、感想への橋渡しをします。ここがうまくいくと、感想文全体の流れが一気によくなります。

「私は」で始まる一文でバトンを渡す

あらすじの直後に、「私は」「ぼくは」で始まる一文を置くのが、もっとも確実な方法です。「私は、メロスが立ち上がる場面を読んで、自分なら同じことができるだろうかと考えました」のように、あらすじの最後の場面を受けて、自分の気持ちや疑問を書きます。この一文があるだけで、読み手は「ここから感想が始まる」と理解できます。

自分の体験との比較で深める

感想を深めるには、作品の場面と自分の体験を並べて比べるのが効果的です。「私も、部活の試合で負けそうになったとき、仲間の顔を見て最後まで走り切ったことがあります」といった体験を一つ添えるだけで、感想に説得力が生まれます。体験は大きな出来事である必要はなく、日常の小さな場面でかまいません。あらすじで示した場面と、自分の体験と、そこから考えたことの3つがそろえば、読書感想文の中心部分は完成です。

書き出しの工夫については「読書感想文の書き出し例文10パターン」、学年別の全体構成については「小学生向けの書き方」と「中学生向けの書き方」の記事もあわせてご覧ください。

まとめ

読書感想文のあらすじは、感想を語るための前提を手渡す短い導入部分です。分量は全体の1〜2割を目安にし、「主人公と状況」「物語を動かす出来事」「心が動いた場面」の3要素にしぼって書きます。読みながら付箋でメモを取り、4つのステップで書き、最後の一文を感想へつなげる場面にすれば、あらすじと感想が自然にひとつながりになります。

結末を全部書かなくてよいこと、細かな出来事を省いてよいこと、帯の文章を写さず自分の言葉で書くことの3つを守れば、あらすじで悩む時間はぐっと減るはずです。空いた時間は、自分がなぜそう感じたのかを考えることに使ってください。そこにこそ、読書感想文のいちばん大切な部分があります。

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この記事を書いた人

文芸Webマガジンあけぼのの編集部です。

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